探索!インカの叡智、12角の石@クスコ_世界一周旅行76

$かもねぎ世界一周。~地球をぐるりと飲み歩き~

マチュピチュに向かうため、アレキパからクスコへ戻った。
しかし、マチュピチュへ向かうべき日までまだ一日ある。

そこで私は「カミソリ一枚通さない」とまで形容される精巧な石組み技術を持ったインカが、
その技術の粋を駆使して作った「12角の石」なるものを探しにクスコの町中へ繰り出した。

ネットの情報によると、「教会横の小道の壁にあるが、付近には10角の石も多く、探すのは困難である」とのことだ。
12角の石だけではなく、10角の石まで量産しているとはさすがインカ。

これは、「10角も12角もたいして変わらん」などと
ひ弱な意見を言う輩が出るのも無理はない。

だが、彼らはわかっていない。
「12角の石」をインカの技術の粋を駆使した石組みの頂点、
オリンピックでいう金メダルだとしたら、11角の石が銀メダル、10角の石は銅メダルだろう。

オリンピックで「銅メダルも金メダルもたいして変わらん」と言う選手がいるだろうか。
やはりみな、狙うからには金メダルであろう。

「銅メダルも金メダルもたいして変わらん」といった精神では、
オリンピックという輝かしい舞台に立つなどできるはずもない。

「あくまでも頂点を目指す、あくなき向上心」それが彼らを超一流の選手へと押し上げているのだ。
「飽きるまで頂点を目指す、穴あきの向上心」を持つ、超一流の旅人である私も彼らを見習おうと思う。

ほどほどの困難が立ちはだかろうとも、私はインカの金メダル「12角の石」を見つけ、
「観光の金メダル」を手に入れて見せる。

私は教会横の小道を壁に注視しつつ歩いた。壁に使われている石は基本的には四角だ。
所々に一流選手である8角や、銅メダルの10角もちらほらと見られる。

しかし、12角のものはない。金メダルだけあって、さすが一筋縄ではいかない。
だが、困難を乗り越えてこそ、「観光の金メダル」が手に入るというものだ。

私は角がおおく、12角の石と疑われる複雑な形をした石の角の数を片っ端から数え、道を歩き続けた。
数えつつ歩いているので、歩みはとても遅く人々に次々に追い抜かれる。

目が疲れる。けれど、あきらめるつもりはない。私は努力を続けた。
そうするうちに、道の先に人だかりが見えた。

人々は手にカメラを持っており、その中心には派手な格好をしたおっさんが壁を背に立っている。
この集団は、彼の写真を撮っているのだろう。

派手なものに目を奪われやすい並みの観光客。
彼らは「観光の金メダル」に届くことはないだろう。

けれど、私が「12角の石」を発見したら、そのおこぼれとして何人かには石のありかを教えてあげよう。
私はその人ごみをかき分けた。

もちろんその間も、壁の石を1,2,3,4・・・と数えることは忘れない。
「観光の金メダル」への道に甘えは許されないのだ。

努力を続ける私の耳に声が聞こえた。

「1,2,3,4・・・・・・」

私は思考を声に出してしまっていたのだろうか。これはよくない。
壁を見つつ数字をぶつぶつ呟いてはさわやかな私のイメージが台無しである。

私は言葉に出してしまわないよう、口を閉める力を強めた。

「7,8,9,10・・・・・・」

強めたのに数字を数える声が聞こえる。ホラーだ。
私はもう喋ることを止められないんだろうか。

思考を垂れ流すしかないのだろうか。
サトラレとして生きていくしかないのだろうか。

しかし、よく聞くとそれは目の前の女性の言葉だった。
派手な格好をしたおっさんの横の石を指をさしながら口にしている。

なんだ、安心した。さて、12角の石を探すか。

「11,12」

・・・・・・ん。いま、なんといった、この人。
「12」とか言わなかったか。いやいや、そんなわけがない。
私があれほど苦労してまだ見つけられていない金メダルが、
こんなにあっさり女性のものになっているはずがない。

私は金メダルを信じている。

しかし、しかしだ。万が一ということもある。
私は女性の指差していた石の角を数えた。

1,2,3,4,5・・・・・・11,12。

12。

12角の石だ。なんぞこれ。

人だかりは12角の石を撮影していたらしい。
派手なおっさんは警備員だった。

あんなに必死に探した私より、ただ歩いてきた人のほうが発見が早いって、
わたしの努力はいったい何だったのだ。

呆然とする私の横から、欧米人の女性が警備員に質問する。

「これなに?・・・・・・12角の石?ふーん」

そういうと、女性は一瞥するだけして、撮影もせずに去っていった。
こらまて感動しろ。わたしがこれを見るためにどれだけ苦労したと思っているのだ。

宿に戻った私は世の不条理をかみ締め、あるホームページを読んだ。
そこにはこう書いてあった。

「12角の石は有名ですが、もっと角の多い石はいくつもあります。
博物館の横に14角の石、16角の石など。12角の石、たいしたことないですよね」

うるさいですよ。

 

 

次回→宿がないぞ!マチュピチュ村@アグアスカリエンテス_世界一周旅行77
前回→バストとヒップとペルーのミスコン@アレキパ_世界一周旅行75

 

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