ぼったくりだらけ!ペルー・エクアドル国境の町@トゥンベス→マチャラ_世界一周79

旅行記
$かもねぎ世界一周。~地球をぐるりと飲み歩き~

「この町はクレイジーだから気をつけて」

エクアドルとペルーをつなぐ国境の町で乗ったミニバンの客引きにこう忠告された。
なんでも、ペルーとエクアドルは最近まで仲が悪かったため、
その影響を引きずっている国境の町は治安がよろしくないらしい。

確かに、メキシコとアメリカ、パナマとコロンビアなど、仲のよくない国同士の国境地帯の治安は概して悪い。
気をつけなければならない。私は客引きと共にミニバンに乗り込んだ。

このミニバンで私の目的地であるクエンカまではおよそ9ドル。
本来はもう少し安くいけるはずなのだが、今回は彼らの言葉を信じ、大事をとってミニバンで国境を越えることにした。

走るミニバンの窓からは、怪しげな顔つきの人々がかっ歩しているのが見える。
ミニバンに乗ったのは正解だったかもしれない。

「この町の人はほとんどイリーガルなんだ。だから、町の近くには大きい刑務所もあるんだよ」

と、同乗者である客引きが指をさした刑務所は、物々しい雰囲気をはなっている。

まるで要塞のようだ。これほどの刑務所が必要とは、この町では日々どれほどの犯罪が行われているのだろうか。
安全な車内から町並みを眺めているだけですんで、本当によかった。

ほどなくして、ミニバンは国境に着いた。

「じゃあ、スタンプ押してくるわ」

運転手にそう告げ、入出国スタンプを押すため、私はミニバンを降りた。客引きもおりる。
私の先に立って、イミグレまで案内してくれる。見えてるのだから、別に案内いらないよと何度も言ったのだが、彼は意に介さず歩いていく。

イミグレに着き、スタンプを押した。これでミニバンでクエンカまで行ける。
ミニバンを降りた位置まで客引きと一緒に戻った。

しかし、ありえないことが起こった。
そこにいるはずのミニバンがいない。

「おい、ミニバンいないぞ。どこいった」

早く呼び出せ、というニュアンスをこめるため、強い口調で私は客引きにたずねた。
だが、客引きは不思議そうな顔をして言った。

「君をここまで送り届けたんだから、帰ったに決まってるじゃないか」
「いや、約束はクエンカまでやろ。まだ国境も越えてないぞ」

ここまでなら、いいとこ2ドルもあればこれる。誰が国境までで9ドルも払うか。

「我々はペルー人だ。国境は越えられない。ここまでだ」

よーし、あほなんやな。

「ノー」

と一言いって、私はその場を立ち去ろうとした。
実は、こんなこともあろうかと、まだお金は払っていないのだ。
そう何度も何度も同じような手口でぼったくられてはたまらん。

彼はあわてて、私を引き止めた。

「待て待て、わかった、クエンカまで30ドルだ」

なにがわかったんかわからん。もういいわ、自分でバスを探して乗るわ、
と私は彼を無視して歩き出した。これを見て、彼も観念したらしい。

「せめて、ここまでのタクシー代として2ドルくれないか」

しぶしぶ、といった風な表情で言った。2ドルなら、まあ妥当な値段である。
ぼったくろうとしてきた相手とはいえ、無賃乗車をするのは少し気が引けたので、
私は10ドル相当のお札を渡してお釣りを要求した。

ここでも彼は「お釣りがない」だの「私のガイド料」だのをぐだぐだとのたまったが、
私が相手にしないのを見て、ようやくあきらめて、素直にお釣りを出した。

とっとと差し出してくれれば面倒がないものを、最後まで不快なやつである。
そのお釣りをひったくり、いらいらしながら、私は国境を渡った。

そこにいた両替商でペルーのお金からエクアドルのものへと両替する。
以前国境で両替詐欺にあったので、彼の挙動にはくまなく目を光らせる。

その私の前で、両替商は一枚のお札を横によけて、その他の分だけを計上して、電卓を叩いた。

「いや、そのお札混ぜてや」

横によけられたのはたいした額のお札ではないが、
エクアドルに持ち込んでしまってはただの紙くずである。
多少汚かろうが、替えてもらわなくては話にならない。

けれど、両替商は笑って私の顔の前でそのお札をペラペラと振る。

「これ、ベネズエラのお金だよ」

私はそのお札を彼の手から取った。まじまじと見る。
そこには、彼の言葉を裏付ける、「ベネズエラ」の文字が印刷されている。

なぜだ。なぜ私がいまさら3ヶ月前に通り過ぎたベネズエラのお金を持っているのだ。
私はしばらくその出所を考えた。そして、あることに思い至った。

さっきの客引きのお釣りだ。あいつ、一枚ベネズエラのお札、混ぜよった。

しつこい絡みにいらいらしたんがあかんかった。
あのしつこい絡みもこれに気づかせないための策略だったんだろうか。敵ながら見事というしかない。

しんでまえ。

そのお札のいきさつを両替商に説明すると、彼は笑っていった。

「この町はクレイジーだから」

そう言って、電卓に表示された額より少なめのお札を私に渡した。
あなたもですか。

その後も、自称ガイドが200m先にあるバス会社までのガイド料を要求してきたり、
タクシーの前に乞食が飛び出してきたり、ありえない町だった。

住人全員クレイジー。
この町爆発してくれないだろうか。

 

次回→南米、2ドルの美容院で散髪した結果@エクアドル・クエンカ_世界一周80
前回→地上絵の秘密を解き明かす@ナスカ_世界一周旅行78

 

コメント

  1. サンコン より:

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    なんて所だw
    詐欺師は足でも踏んづけてやれー

  2. 熊五郎の家 より:

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    クレイジーな町で、少しまけながら生き延びているねぎさんを、心から尊敬します。きっと、インドは楽勝だと思います。

  3. ねぎ より:

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    >サンコンさん
    ほんまに意味のわからん町やったw
    せやな。踏んどけばよかったわ笑

  4. ねぎ より:

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    >熊五郎の家さん
    うん、きっとえらいことになりますね笑
    ただ、インドは物価が安いのでたしょうぼったからえても大丈夫!なはず…

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