たとえば、狂犬病や破傷風。そしてマラリア……。
これらの病気は、医療の進歩や環境により、日本ではかかることはありませんが、
世界ではいまだに猛威を振るっています。
そこで必要なのが予防接種。
事前に打っておくことで、症状を防ぐ or やわらげることができます。
しかし、この予防接種、保険が効かないため値段がかなり(1本1万円前後、世界一周をするのに必要な予防接種を網羅するなら10万円前後)します。
そこで、少しでもこの予防接種の値段を抑える方法を紹介します。
目次
海外旅行に必要な主な予防接種と薬の価格
まず、普通に受けると予防接種はだいたいどれくらいの値段がかかるのか。
区分 | 料金(1回につき) | 必要回数 | 接種間隔 |
黄熱病 | 12,300 | 1 | – |
破傷風 | 3,700 | 1 | – |
狂犬病 | 16,500 | 3 | 4週間 |
日本脳炎 | 7,200 | 1 | – |
ポリオ(不活化ワクチン) | 7,200 | 1 | – |
A型肝炎 | 8,900 | 2 | 2~4週間 |
B型肝炎 | 8,600 | 2 | 4週間 |
MR(麻疹・風疹) | 10,300 | 2 | 4週間 |
麻疹(はしか)のみ | 6,700 | 2 | 4週間 |
風疹のみ | 6,700 | 2 | 4週間 |
※料金は日本検疫協会のHPより。
※接種回数は私が調べた情報をもとにしていますが、必要な回数・接種間隔は
実際に病院でご相談をお願いします。
また、予防接種ではありませんが、マラリアの薬も高価です。
区分 | 料金 |
抗マラリア薬(マラロン) | 16,500(20錠) |
高山病予防薬(ダイアモックス) | 1,500 |
※1日1錠飲む必要があります。
これらを全て合わせると、料金は合計で167000円。
区分 | 料金(1回につき) |
予防接種費用合計 | 150500円 |
薬(抗マラリア薬と高山病)合計 | 16500円 |
総合計 | 167000円 |
16万7000円!
改めて計算するとびびりますね。
高いっ!!!
はい。
予防接種だけで旅に行けてしまいます。
いや、真剣な話、高すぎると思うんですよね、この値段。
予防接種が重要なことは百も承知なのですが、けちりたくなってしまう。しかし、けちりすぎると命に関わる……ううむ。
では、どうやったらこの予防接種の値段を抑えられるのか。
予防接種を安く抑える3つのコツ
ポイントは、3つ。
- 病院を選ぶ
- 受診/購入する場所を選ぶ
- 受ける予防接種を選ぶ
病院を選ぶ
予防接種には、保険が効きません。
これは、裏をかえせば、予防接種の値段を各病院で自由に決めることができるということ。
実際、狂犬病の注射、私が調べただけでも、1回4000円くらいは高いところと安いところで差がありました。3回打てば12000円の差です。
このため、予防接種を受ける病院を選べば、予防接種の料金を1~2割安くできます。
そして、選ぶためにどうやって調べるかと言うと、ひたすら電話!
- 厚生労働省の予防接種機関データベースから予防接種を受診できる病院を探す
- 対象の病院に電話で問い合わせる
を繰り返し、値段を調べましょう。。
(原始的ですいません。HPで値段を示している病院も一部ありますが、表示していないところもかなり多い&時期によって値段が変わるため、結局電話がベストかなと思います)
ただ、すべての予防接種の値段を聞くと手間がかかるので、全部聞いていられない方は、特に高額な狂犬病/A型肝炎の値段だけでも問い合わせるとよいかと思います。
なお、参考までに、私が世界一周に旅立った当時、関西(大阪~兵庫県の神戸市近郊)で安かった病院は以下の3つの病院でした。
- わたなべクリニック
- 大阪回生病院
- 置塩医院
また、関東では以下の病院が安いと有名です。
・ふたばクリニック
受診/購入する場所を選ぶ
病院を選ぶことで、1~2割予防接種費用は安くなります。しかし、さらに安くしたい場合はどうするか。
それが、場所を選ぶ。すなわち、国内だけでなく、海外で受診することも選択肢に入れるということです。
どんなものでもそうですが、需要がある場所では、物の値段は安くなります。
このため、予防接種の需要が長期海外旅行に行く人にしか需要のない国内に比べ、まだその病気が残っている国で予防接種を受けた受けたほうが値段は圧倒的に安くなります。
たとえば、以下の病院が有名です。
タイのスネークファーム(正式には、「サオワパー女王記念研究所(Queen Saovabha Memorial Institute)」)。
区分 | 料金(1回につき) |
黄熱病(Yellow Fever ) | 1000バーツ=3000円 |
A型肝炎(hepatitis A) | 1400バーツ=4200円 |
A型肝炎(hepatitis A) | 1400バーツ=4200円 |
腸チフス(typhoid) | 400バーツ=1200円 |
破傷風・ジフテリア・百日咳3種混合ワクチン(Boostrix) | 630バーツ=1890円 |
狂犬病 | 350バーツ=1050円 |
日本脳炎 | 460バーツ=1380円 |
※その他、初診料(登録料)20バーツ=60円、診察料 50バーツ=150円がかかります
※1バーツ=3円で計算
※私が調べた、2015年時点の価格です。
おおよそ、日本の3分の1から4分の1の値段です。全て海外で打てば10万円近く安くなりますので、日程に余裕があれば、利用を検討してみてください(狂犬病を打つ場合、3週間程度~の期間が必要です)。
<参考情報:スネークファームの住所>
Queen Saovabha Memorial Institute 1871 Rama 4 Road, Pathumwan Bangkok 10330 |
詳しくは、以下公式HPまで(なぜか白黒で怪しいですが……笑)
なお、マラリアの薬・高山病の薬も現地で買うと格段に安くなります(高山病の薬はペルーで購入しましたが、薬局で500円程度で売ってました)。
受ける予防接種を選ぶ
最後に、受ける予防接種の選別です。
最終的には自己判断ですが、行く地域・旅行の種類(町だけを行くのか、冒険的にジャングルもいくのか)などによっては、受けなくても大丈夫な予防接種もあります。
このため、それらを削ればさらに価格としては安くなります。
※黄熱病の予防接種は、受診していないと入国できない国(南米・アフリカなど)もありますので、それらの国に行く場合は必須です。
以下、FORTH(厚生労働省検疫所)に掲載の情報を参考として抜粋して掲載します。
必要な予防接種の種類
予防接種 対象 黄熱 感染リスクのある地域に渡航する人 A型肝炎 途上国に中・長期(1か月以上)滞在する人。特に40歳以下 B型肝炎 血液に接触する可能性のある人 破傷風 冒険旅行などでけがをする可能性の高い人 狂犬病 イヌやキツネ、コウモリなどの多い地域へ行く人で、特に、近くに医療機関がない地域へ行く人
動物研究者など、動物と直接接触する人ポリオ 流行地域に渡航する人 日本脳炎 流行地域に長期滞在する人(主に東南アジアでブタを飼っている農村部)
海外渡航で検討する予防接種の種類の目安
下の表はあくまで目安です。このほか、国内で承認されていないワクチンもあります。渡航外来等で接種医とよく相談して受けてください。
地域及び滞在期間 黄熱 ポリオ 麻しん※1 日本脳炎 A型肝炎 B型肝炎 狂犬病 破傷風 東アジア 短期 ◎ 〇 長期 ◎ 〇 ◎ 〇 〇 ◎ 東南アジア 短期 ◎ 〇 長期 ◎ 〇 ◎ 〇 〇 ◎ 南アジア 短期 ◎ 〇 長期 〇 ◎ 〇 ◎ 〇 〇 ◎ 中近東 短期 ◎ 〇 長期 〇 ◎ ◎ 〇 〇 ◎ 太平洋地域 短期 ◎ 〇 長期 ◎ 〇 〇 〇 ◎ オセアニア 短期 ◎ 長期 ◎ ◎ 北アフリカ 短期 ◎ 〇 長期 〇 ◎ ◎ 〇 〇 ◎ 中央アフリカ 短期 ● ◎ 〇 長期 ● 〇 ◎ ◎ 〇 〇 ◎ 南アフリカ 短期 ◎ 〇 長期 〇 ◎ ◎ 〇 〇 ◎ 北・西ヨーロッパ 短期 ◎ 長期 ◎ 〇 ◎ 東ヨーロッパ 短期 ◎ 長期 〇 ◎ 〇 〇 〇 ◎ 南ヨーロッパ 短期 ◎ 長期 ◎ 〇 〇 〇 ◎ ロシア 短期 ◎ 長期 ◎ 〇 〇 〇 ◎ 北米 短期 ◎ 長期 ◎ 〇 ◎ 中南米 短期 ● ◎ 〇 長期 ● ◎ ◎ 〇 〇 ◎ ◎:予防接種をおすすめしています
〇:局地的な発生があるなど、リスクがある場合に接種を検討してください
※1:今までに2回接種の既往がない方、もしくは接種既往が不明の方に予防接種をおすすめしています。
麻しんについての詳しい情報は厚生労働省からの情報もしくはWHOのホームページをご参照下さい。
【注意】長期とは、およそ1か月以上の滞在する場合です。冒険旅行は短期であっても長期に含めます。
私は、これらをもとに、以下3つを受けました。
- 黄熱病
→受けないと入国できないブラジルなどに行くため必須 - 狂犬病
→発症=死の致死率100%の病気のため。 - A型肝炎
→南米が感染地域で、食べ物を介して移るため、自分で意識して防ぐのは難しいと考えたため
日本脳炎、破傷風は日本で幼いころに定期予防接種を受けているので、受診しないでも大丈夫かな、ということで受けていません。
(ただ、これらの予防接種の効果が続くのは20代前半くらいまでらしいので、正直、この判断がよかったかと言われると微妙……。20代後半~で、対象地域に行かれる方は、ぜひ受診を!)
なお、薬については、衛生面の不安もないし、薬局で買えるし、ということで現地購入としました。しかし、これは推奨しません。
というのも、マラリアも高山病も、重症化すると、かかった人が薬局にいけるほど余裕のある病気ではありません。
私は高山病にかかり、2日間ベッドで寝たきりになりました。
また、マラリア。こちらはもっときついらしい。私は運よくかかりませんでしたが、誇張でもなんでもなく死にかけます。というか死にます。
かかる可能性と重症化率で考えると、海外旅行でかかる病気としておそらくマラリアが一番あぶない。感染地域にいくかたは、必ずマラリアの薬を持参してください!
繰り返しになりますが、かかってから薬を買おう、なんて考えないでください。
重症化すると薬なんて買いに行けません。
高山病もマラリアもそんな余裕のある病気ではありません。誇張なく死にます。同時期に世界一周してた方も、マラリアの犠牲者になってしまった……
まとめ
- 病院を選ぶ
→病院ごとの予防接種の値段を比較する - 受診/購入する場所を選ぶ
→海外での受診も視野に入れる - 受ける予防接種を選ぶ
→感染地域にいかない、幼いころの3種混合ワクチンなどで対策済の予防接種は省くことも検討する
このようなことをすることによって、高い予防接種料金もある程度節約できます。
ただ、必要な予防接種・薬は削ってはいけないと思います。何事も命あってのものだねです。
必要なものに関しては、けちらずにしっかり準備し、節約できるとこはしっかり節約して旅行にお金を残しましょう♪
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