トマト祭り参戦!2~奪えハム!@スペイン・ブニョール_世界一周旅行86

$かもねぎ世界一周。~地球をぐるりと飲み歩き~

トマト祭り参戦!1~宿事情からの続きです。

 

ほどなくして起きてきた仲間と共に、トマト祭りの前哨戦として行われる「ハム取り」へ参加することにした。

この、「ハム取り」がどのようなものか知らない方は、まず、小学校の頃にやった棒倒しの棒のてっぺんにハムがつけられていることを想像してもらいたい。その棒は、地面にがっちりと固定され、シャンプーのような物が塗りたくられ、すべりやすくなっているのだ。

そこを、みなで、ときに競い、ときに協力して登っていき頂上に備え付けられているハムを取ることを目指すのだ。

この「ハム取り」は大変困難で、年によっては誰も取れずに終わることもある。しかし、それゆえに取った者はその偉業を称えられ、この日のヒーローとなれる。

これで私や仲間達がハムを取ったりしたら、我々の寝姿の写真を撮っていた幾人かの人々はきっとこう思うだろう。

「変人もヒーローになれるのか」

感動の物語である。

 

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私達は朝ラッシュ時の満員電車のような人ゴミを押し分け、棒へ近づいていった。

押し合いへし合い、潰されそうになりながら、人と人の間に手を押しこみ、こじ開け、わずかにできた隙間に身体をねじ込むようにして一歩ずつ棒へと近づいていく。

先頭を歩く私の前には棒を狙う汗だくの男達の姿が映る。なぜか無駄にガタイがよく、上半身裸のやつが多く、押し合いで生まれただろう汗がぎらぎらとひかり、暑苦しい。

満員電車に上裸のマッチョが詰め込まれた姿を想像してくれればわかりやすいと思う。

もう本当に暑苦しい。
正直、逃げたかった。

このむさくるしい状況から抜け出したかった。棒なんてもうあきらめて、逃げたかった。

しかし、私は逃げなかった。この密集地帯で私が退くと、後ろの仲間達も退かざるを得ない。

仲間を裏切るわけには行かないのだ。
私は、まっすぐ前へ進んでいった。

汗にまみれ、身体を服を汚しながらもなんとか棒のたもとにたどり着いた。

ようやく、である。感動を分かち合うべく、私は後ろを見た。

しかし、そこに仲間の姿はなかった。
彼らはあまりの人ごみにあきらめたようだ。

おーい。

孤独である。さみしい。やるかたなく立ち尽くす私を四方からむさくるしい男達が次々に押してくる。

むさいし、苦しいし、もう帰ろっかな。ハム取りの中心から離れれば、少しはましになるし。

視界をうめつくす汗まみれの男達から生まれるそんな思考を頭の中で転がしつつ、唯一むさくない空間である上空に目をやると、そこにはハムがはるか上でゆれている。

男達のアタックに揺れる棒と連動して揺れている。
それを眺めているうちに、私のどこに埋もれていたのか、とおもうようなチャレンジ精神が胸のうちにわいてきた。

そうだ、せっかくここまでむさくるしい男達をかき分けてきたのだ。登らない手はないではないか。

そう自らを奮い立たせ、私は前でうごめいている男達を踏み台にし(これは比喩でもなんでもなく、棒を登るには、棒の周囲にいる人の肩なり背中なりを文字通り、踏みつける。このため、棒の近くにあんまりいると、踏み台にされてとても痛い)、棒へしがみ付く。

棒を挟み込めるように右足を棒に添え、左手も添え、身体を引き上げるための右手で自分の届く限界いっぱい上の部位をもった。
力をこめる。同時に左足を上げ、棒に添えた。

つるり。

シャンプーに守られた棒はめちゃくちゃにすべりやすかった。私は簡単に滑り落ちた。

ずべべべべべ。

土台になっている男の背中にケツから突っ込む。さらに落ちる。土台になっている男達の隙間に落ちていく。

シャツが摩擦でめくり上がる。胸が、腹が、棒に直接触れる。それでも落下はとまらない。

どんどん落ちて、地面に足がついてようやく落下は止まった。登ろうと棒にしがみついた姿勢のままで、私は完全に男達に埋もれてしまっている。

足が、腹が、胸が、すごくいたい。
じんわり涙が浮かびそうである。

そんな私を、新たな挑戦者が踏み台にして登っていった。そして即座に、私と同じように落ちてきた。
私の上に。

いたい!

そしてめげずにまたトライしようと、私の肩に足を乗せ、踏ん張っている。土足である。ぐりぐりと私の肩が痛めつけられる。

いあい!
たまったものではない。

逃げよう。あんなすべるんじゃ、どうせしばらくハムは取れん。

そう判断して、私はその場を離れることにした。
肩から足が離れた瞬間、振り向き、押し寄せる人々に逆らって棒から離れようとする。

だが、前には土台になるレスラーのような巨漢たち。わけもなく上裸。押しよせてくる暑い、暑苦しい胸板。胸毛。もじゃもじゃの胸毛。

私の顔の位置にジャストフィット。
圧迫してくる。押し付けてくる。
やめて。
やめてくれ。

「ああああああああああああああ!!!!!」

私は叫んだ。
身体を縮め、わき目もふらず必死で逃げ出した。
棒のそばから離れても、しばらくまともに動けなかった。

すさまじい戦いだった。

ハムは取れなかったが、ハム取りはもういい。
私は人ごみをかき分け、次なる戦いの場、トマト祭りに備え、中心部とでも言うべき、広場近くへ向かった。

<トマト祭り 3 へ続く>

 

次回→トマト祭り参戦!3~NICE FIGHT!@スペイン・ブニョール_世界一周旅行87
前回→トマト祭り参戦!1~宿事情@スペイン・ブニョール_世界一周旅行記85

 

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2件のコメント

  • 熊五郎の

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    さわやかな秋ばれのもと、うっとおしい裁判を抱えて腐っている私に、笑いをありがとう。

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    >熊五郎のさん
    食欲の秋、読書の秋、裁判の秋ですね。
    …ほんとおつかれさまです笑

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