パナマシティにはパナマ運河がある。
太平洋と大西洋をつなぐ世界最大の運河。せっかく中米に来たのだから、ここには行っておきたい。
そんなわけで私はタクシーを捕まえ、パナマ運河へと向かった。
だが、このタクシー、おかしい。市街地なのに100kmとか出している。めっちゃこわい。警察はなにをやっているんだ、と思い、周囲を見渡すと、他の車も同じくらいの速度だった。
パナマおかしい。
だがこのおかしな町でもさすがに信号は守るようだ。タクシーは信号で停車。一安心である。
「アモーレ(愛してるよ)」
停車してホッとしていたら、タクシーの運転手がおかしなことを言い出した。こっちを見ている。大変情熱的な目だ。
たいへんこわい。へんたいこわい。
そう恐れおののいていたら、彼の視線が移動した。私の視界に女性の姿がうつる。後ろから私の乗っているタクシーを追い抜いた。きれいな女性だ。
どうやら彼はこの女性に向かって話していたようだ。ただのナンパであった。
一安心である。
だがこのナンパは私にとっては幸いなことに不発に終わり、うなだれる運転手。
たいへん落ち込んでいるようだ。私はすこし同情した。
きっと彼も日々の生活で疲れているのだろう。そこに、現れた美女。きっと、一目ぼれしてしまったのだろう。つい我を忘れてしまったのだろう。1度くらいは多めに見てあげてもいいかもしれない。
私は寛大な心で許すことにした。女性がタクシーの横を通る。
「アモーレ(愛しているよ)」
先程までの落ち込みはどこへやら、運転手は同じ言葉を繰り返した。
仕事しろ。
信号が変わり、タクシーが走りだす。時速60km。
あっという間に彼がナンパした女性を追い抜かす。
そのはずだった。だが、中々抜かせない。
抜かす前に前方の車が停車しタクシーもそれに合わせ停車する。ただいまの時速、50km。
あほな。いったい何kmで歩いているのだ。まさか彼女はアラレちゃんなのか。
こんなところにペンギン村があったとは。大人になって美人になったものだ。おぼっちゃま君もさぞ幸せだろう。
そんなわけがない。彼女はごく普通の一般人だ。
速度計が壊れている。表示が3段階しかない。
停止:50km
ゆっくり移動:40~60kmを行ったりきたり
早く移動:100km
ゆえに、渋滞にはまっている私達は速度計が時速60kmでも彼女に追いつけない。
まぎらわしいぞ。ナンパするより先に速度計直せ。
渋滞のため時間はかかったが、パナマ運河に到着。
ナンパ運転手と別れ、一通り観光をする。
じつは、私はパナマ運河にあまり期待していなかったのだが、中々よかった。
巨大な船が目の前を通るのはそれだけでもおもしろかった。
宿へ帰ることにする。
パナマ運河の前に停車しているタクシーはぼったくりばかりなので、
バスターミナルまで行き、そこから帰りのタクシーに乗り込んだ。
今度の運転手はナンパもせずに優秀である。
いや、これが普通なのだろう。やはり行きの彼は特別であったのだ。
市街地では100kmでている速度計にはびっくりした。
ナンパしている暇があったら早く直してほしい。
彼のことを思い出し、ふと興味がわいた。市街地では実際何kmでているのだろうか。
速度計を覗き込む。
5km
町並みは高速で後ろへ流れて行く。走ってこの5kmを出せるなら世界新間違いなしである。
結論:パナマの速度計は壊れているのが普通。
自分の速度がわからないから、制限速度意味ないぞ。
次回→パナマ・コロンビア国境越え@プエルト・オバルディア→カプルガナ_世界一周32
前回→パナマでの恐怖体験@ボカス・デル・トーロ_世界一周30
<交通情報>
宿→パナマ運河(行き)
タクシーで5ドル
パナマ運河→宿(帰り)
パナマ運河前のタクシーはぼったくり(8ドル。行きは5ドルで来たと言っても受け入れず)なので、パナマ運河のミュージアム入り口から300mほど幹線道路まで下り、そこからバスでバスターミナルへ。0.25ドル。
バスターミナルから宿まではタクシーで3.5ドル
コメント
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あはは!
運転手さんといい、速度計といい面白すぎます( ´ ▽ ` )ノ笑
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>咲子@世界一周さん
ほんと、面白くたわけた人&物です笑
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速度計3段階は笑えました。ついでに、ナンパ先の美女も載せてほしかった。最近おもろい写真が少ないような気がします、写真構えるのも危ない時(インドの下町とか)もあるけど、おもろい写真も見たいです。安全運転、安全旅行祈ってます。
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>熊五郎のさん
笑っていただけて何よりですだ。
写真は、撮るほどのものが中米にはあまりなかったとかいう。
この次はエンジェルフォールですし、きっとご期待に沿えるはず!