チリ！温泉！魚！それを阻む物は……＠フフイ_世界一周旅行62

旅行記

2011.07.282016.11.21

イスチグアラスト・タランパヤ国立公園の観光を終えた私は、
サルタという町まで北上し、そこでチリに向かうためのチケットを購入することにした。

しかし、この町にバスが到着した時間である午前６時にはバス会社は当然のように開いていない。
開くのは１０時だ。周りの店も開いていない。
やることもなかったので、たまたま拾った野良電波を利用したインターネットでチリの情報を調べあさった。

それによると、チリの北部、私が今から向かうサン・ペドロ・デ・アタカマという町は
アタカマ砂漠という砂漠の玄関口となる町であり、さらには世界最大級の鉱山と間欠泉があるらしい。

しかもこの間欠泉では温泉にも入れるとのこと。
日本を出て以来、まったく湯船に浸かっていない身としてはそれも楽しみである。

チリは魚介類も豊富だし、楽しい旅になりそうだ。
風呂に魚、これで日本酒があれば熱海の温泉である。温泉に浸かって一杯。

たまらん。たまらんぞ、このやろう。

まだ見ぬチリへの妄想にふけっていると時間はあっという間に過ぎた。
１０時になり、バス会社の窓口がひらく。温泉、魚、温泉！さかな！
４時間に渡る妄想で頭の中がチリでいっぱいの私はだれよりも早くそこにかけつけ、チケットを求めた。

「チリ行きのチケットをくれ！」

声を弾ませて窓口のおばさんに聞く。そんな私に対しておばさんは冷静に３つの言葉を発した。

「ないわよ」
「無理よ」
「雪で通れないわよ」

泣くかと思った。なにも畳み掛けるように言わんでもいいではないか。
私のチリ行きはなくなった。

ついでにいまだからいうが、私はこの後、ボリビアに入国する時も温泉があきらめきれずに
チリに入国しようとしたのだが、そのときも雪でダメだった。

私の温泉を返せ。