「フィニッシュフィニッシュフィニッシュ!!」
「あと2分くらい待ってくれてもいいじゃないですか!」
「フィニーーーシュッ!!」
むかつく顔でがなりたてる窓口のおばさまに私はエジプトのカイロにあるインド大使館から追い出された。
朝の10時に大使館に到着したのに、記入ミスに時間を取られ、窓口の閉まる時間までに書類を書ききれなかったのだ。
原因は、以下2つ。
・窓口が混み合っていたことと
・必要書類への記入事項がやたらわかりづらかったこと
(あまりに説明が少なすぎて何を聞いているかわからない項目が異常に多い)
「いやそれにしても朝10時から行って、窓口閉まるまでに終わらないって、どれだけ失敗してるねん」と思ってはいけない。
時刻はまだ11時半である。まだ正午にもなっていないのである。
なぜこんな早くに私は追い出されたのか。今日は特別な行事があったのか。
否。
私はなにか余計なことをして追い出されたのか。
否。
答えは簡単である。
インド大使館の営業時間
8:00~11:30
3時間半。
1日のうち、3時間半。
なめている。
私はほぼ書ききった書類とビザ申請費用を提出するそのためだけに、カイロに1日余分に滞在した。
聞くところによると、ビザを受け取れるのはこの日からさらに4営業日以上経過してかららしい。
その間カイロで時間を無為にすごすのも馬鹿らしいので、この時間を利用し、私はエジプト各地を回った。
そして5日後、私はカイロへ戻ってきた。
インドビザを受け取るためだ。前回のように時間を取られても大丈夫なように、朝一番の8時過ぎ、私は3度目となるインド大使館を訪れた。
5分後。
「はい、それじゃ明日」
窓口のおばさまのその非情な一言で、私はまた明日もインド大使館に来なければならないことが確定した。
今日やったことは、よくわからん金の支払いだけである。
ビザの申請費用なら前回書類を提出した時に一緒に払ったのに、なぜまた払わせるのか。
というか、そのときにこの費用も一緒に払わせればいいと思うのだが。
たった5分のためにまた一日無駄にしなければならないのである。
なんなんだろうか、このシステム。悩んだ末に、私は結論付けた。
インド大使館、あほなんだ。
翌日朝8時、私は都合4度目となるインド大使館を訪れた。
この流れですっかり顔を覚えたおばさまにビザの受領に来た旨を伝えると、彼女はうっとうしそうに、
「WAIT」と横柄な態度で近くにあるソファを指差した。
なぜこれほどまでに無駄な手間を取らせておいてそんな態度に出れるのかまったく謎だ。
相手のことを考えるほどに脳みそが発達していないのだろうか。
脳の小さなおばさまに同情した私は素直にそこに座り、ビザが出てくるのを待った。
その横でエジプト人たちが着々と申請を済ませていく。
1時間が経過。
私の状況はまったく変化がない。
おばさまに「あとどれくらい待てばいいのでしょうか?」と聞いても、彼女は私の方を見もせず「WAIT」とソファを指差すばかりである。
いくら待っても私のビザに関する作業をする様子のないあたりは理不尽であるが、温厚な私は許してやった。
再びソファに沈み込む。
2時間が経過。
私の状況はやっぱり変わらない。
「まだですか?」と聞くも、おばさまの返事は「WAIT」から変わらない。
2時間半が経過。
あと1時間で窓口が閉まる。
朝1番に来たのにこれはどういうことだろうか。
窓口で作業中のおばさまはその小さい使えない脳みそで仕事に没頭するあまりそのことを忘れているのではないだろうか。
私はおばさまの前に立ち、時間のことを確認してあげることにした。
「あのー、もうあと1時間で閉まりますよね。まだビザ受け取れませんか?」
「WAIT」
うーむ、おばさまの小さい脳みそでは没頭している作業以外のことは「WAIT」としか返せないのだろうか。
かわいそうに。
私は、おばさまが小さな脳みそでも私のことを忘れずにすむ様にと、おばさまの窓口の横に立って私の存在をアピールすることにした。
腕を組み、窓口の横に立ち、時々「まだ?」と声をかけてあげる。
われながら優しい。
しかし、なぜかおばさまはキレた。
「シットダウン!!!!」
ソファの方を指差し、大声で叫ぶ。
うーむ、私はビザをもらうために、存在をアピールしていただけなのだが、いったい何が彼女のカンに触ったのか。
ひょっとして彼女は私が2時間半前に伝えたビザの受領の件を覚えていないのだろうか。私は確認してみることにした。
「私、朝1番にビザを受け取りに来た。2時間半待ってる。あなた覚えてる?」
「シットダウン!シットダウン!シットダウーーーン!!」
おばさまにもわかりやすく丁寧に説明している私の言葉にも、おばさまは泡をとばし「すわれ」を連呼する。
ビザが欲しいだけなのだが、なぜ通じないのだろう。
首をひねりつつも、私は窓口の横に立ち続けた。
そして30分後。
おばさまは嫌そうにため息を吐くと、なにかを探すように机をがさごそあさった。
しかし、そこに目当てのものはなかったようだ。
おばさまは立ち上がり、窓口の横にある倉庫らしき部屋へと消えた。
戻ってきた手には、パスポートが握られている。
彼女はそのページの1つにはんこをポンと押すと、窓口から私のほうへそれを投げた、
私のパスポートである。中を確認すると、インドビザが確かに張られている。
実質作業、はんこ押すだけ。
なんで2時間待たせんねん。インド行く前だが、すでにインド大っ嫌いである。
そして次回からはそんなインドの話。ええ、もう、大変ですよこの国。
時間の都合で省いてしまったエジプト一番のお気に入りの町、ダハブ。
世界に名だたるダイビングの町だ。浜からそのままダイビングができるほど海がきれいで、
時間の流れも緩やかですばらしかった。
そんなお気に入りの町をなんにも載せないのも悲しいので、画像だけまとめました。
よかったら、どぞ
次回→旅の終わり
※2016年追記
この後、インド→中国とめぐり、私は日本に帰国しました。しかし、当時、ブログと実際の旅行にかなりのタイムラグが出たため、この旅行記を投稿した直後、日本帰国を果たしました。
このため、インド中国の旅行記はないまま、この次の記事「旅の終わり」で終了です。
コメント
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30年前のインドはいいひとばっかりだったよ。男同士でおててつないで歩いていることが多かった。きっとインド人もいいひとだと思うよ。インドって言っても、デリーと他ではだいぶ違う、ニューデリーとオールドデリーでも違っていたような。まあ、タージマハールには感動して下さい。
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凄すぎて私はインド行けなそうですね・・・本当に優しいですね。俺だったら国際問題になるくらいきれてしまいそうです。
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もう中国か早いな~
インド編楽しみにしてるわ~
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>熊五郎の家さん
ニューデリー、アーグラー、バラナシは人が腐りすぎてしにそうでしたよ笑
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>すしおさん
「強きに従う」が基本方針ですので笑。
ただ、この大使館の職員はインド人としてもなかなか輝いたくそっぷりでしたw
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>サンコンさん
帰国したので飛ばしてしまいました笑
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カイロのインド大使館の休みって金土かな?わかるなら教えて欲しいな~
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>かんとくさん
あいまいな記憶なのですが、確かそうだったと思います