プラヤ・デル・カルメンで念願だったセノーテダイビングを終え、私はメキシコを出ることに決めた。そこで、プラヤ・デル・カルメンからパレンケという町へと移動し、そこでツアー会社のメキシコの国境を抜けるシャトルバスへの申し込みを済ませた。メキシコではもう金を使うことはないので、明日の朝食と出国税用にわずかばかりの金31ペソ(日本円で250円ほど)を残してその日は就寝する。
翌日、日もまだ昇らない朝6時。薄暗い中、私は共に国境を越える8人の人々と3人のガイドと共にシャトルバスへ乗り込んだ。朝早く起きたため、少し眠い。私は車の中で仮眠をとった。
2時間ほどして到着した休憩場所で車から降りる。ガイドの説明によると、この休憩場所で朝食を取らなければ、国境を越え、グアテマラに入国した後、町に着くまで食事を取る機会はないらしい。しっかり飯を食わなければ。
ガイドに連れられ、食堂へ入る。中では、簡素なものだが、パンのほかにもおかずがあり、朝食としてはよさそうだ。出国のために金を使い切った我々のためにこんなものを用意してくれるとは中々に気が利いている。私は喜んで列に並んだ。
だが、一緒に車から降りた何人かが列に並ばない。どうしたのだ、と聞くと、
「私達はメキシコのお金をもう持っていない。食べられない」
と不満気な声でもらす。なに、タダじゃないのか?私はスペイン語がわからんけど、ガイド達が当然のように飯を食い始めているのでタダだと思っていたぞ。こう聞くと、「たぶん彼らはタダなんだろう。我々は支払いが必要だ」と教えられる。
そうなのか。でも、少しもお金を残しとかなかったのは、お前らも悪いぞ。私のようにきちんと計算してお金を残しておかないからそうなるのだ。で、ここ値段はいくらなのだ?相場からすると、15ペソくらいか?
「50ペソだ」
んん?聞き間違えたかな??15だよな?
「50ペソだ」
私の所持金:31ペソ
朝食代:50ペソ
飯抜き、と。値段が完全にふざけている。出国するのだから、メキシコの金は必要なくなるわけであり、小額を残して使い切っているのが普通である。そこに、相場の倍以上の水準のぼったくり食堂をぶつけてくるあたり、やつらのセンスの秀逸さが光る。なめとんかおまえら。
やることもないし、車の中で寝ていよう。ガイド、車を開けてくれ。
「少し待て。飯を食べている」
ふざけとんか。こっちは飯も食えず路上で待ちぼうけさせられとるんやぞ。ええから開けてくれ。一瞬やろ。
「わかった、わかった、あと30分だ」
なんもわかってないぞ。
もう少し安い食堂か、売店でもあれば我々も飯を食べれたはずなのにおかしくないか、この仕打ち。空腹な貧乏人数名はバスの中、ガイドとツアー会社への不満で腹が鳴って仕方がなかった。
だが、こんなアホなガイドともメキシコの国境でお別れである。彼らは国境は越えないのだ。グアテマラに入った後は、グアテマラ側のガイドが我々をフローレスという町まで運ぶことになっている。
メキシコのイミグレーションにて出国手続きをすませ、グアテマラ側のイミグレーションへ向かう。この二つのイミグレーションは間に川があり、距離も離れているため、バスで船着場まで行き、そこから船で渡るのだ。船での国境越えは初めてなので少し楽しみである。
イミグレーションで全員の手続きが終わるまでには少し時間がかかる。初めのほうに手続きを終えてしまった私は、貧乏人仲間と腹減ったなー、とりあえずグアテマラ入ったら飯やな飯、的な話をして時間をつぶしていたのだが、どうもなにかガイド達の様子がおかしい。
私のほうを指差し、なにか喋っている。そこに新たに怪しげな親父がやってきてガイド達と話しはじめる。ガイドの方が親父に何か頼んでいるようなのだが、親父は首を振るばかり。そしてついにはまたどこかへ行ってしまった。
ガイドたちは困った表情で話し合っている。そして、時折こちらを見る。もう嫌な予感しかしない。
イミグレーションで全員の手続きが終わり、ガイド達の話し合いが終わったようだ。バスが出る。人々がバスに乗り込んでいく。私はその最後尾に続く。
その私にガイドが話しかけてきた。
「すまないが君は乗れない」
は?
「船のオーナーに人数を間違えて伝えてしまった。8人しか乗れない。君の分はないんだ。だから、あとから来る私達の会社の別の人間と一緒に来てくれ。私の言っていること、理解できたか?」
いや、お前らがアホやということしかわからん。ゆっくり喋りなおしても同じだ。わたしがわからんのはお前の英語の中身じゃなくて頭の中身だ。
「それじゃ、10分も待てば彼は来るから」
バスは走りだす。私を残して。地球は回る。私を残して。名曲カントリーロードが頭の中をリフレインしていたが、よくよく考えるまでもなくこれはそんな感動的な場面ではなかった。あわれな日本人が国境であほなメキシコ人のツケを払わされて立ち尽くしているというただそれだけの話である。
不幸である。
だが、人生谷があれば山がある。立ち尽くしている私に大変かわいらしい白人の女性が話しかけてきた。
「あなたも置いていかれたの?わたしもなのよ、どうなっているのかしら、あの会社」
なんだ、実はさっきの不幸はこの素敵イベントのための布石だったのか。この女性も置いていかれたということは、これから話もはずみ、きっと仲良くなれるに違いない。10分程度なら全然待てるぞ。たいへんよろしい。
「私はもう1時間も待っているの。いつ来るのかしら、彼らの会社の人」
よろしくないぞ。1時間は待てんぞ。ぜんぜん素敵イベントじゃないぞ。10分で来るんじゃないんかい。
結局、ツアー会社の人間が来たのはそれから30分後だった。不幸である。
次回→こわいぞ!グアテマラシティ@フローレス→アンティグア_世界一周23
前回→メキシコの地底湖、セノーテでダイビング♪@プラヤ・デル・カルメン_世界一周21
<今回の交通情報>
プラヤ・デル・カルメン→パレンケ
バス424ペソ(3200円)
パレンケ→フローレス
シャトルバス300ペソ(2300円)。ツアー会社によって、かなり値段が違う。ちなみに、私が申し込んだのは、NACHANKAN(住所:Av.Hidalgo esq.Jimenez Col.Centro Parenque)というところ。
パレンケ→パレンケ遺跡
ミニバスで片道10ペソ。RUINAS(スペイン語の遺跡という意味)と連呼してたら、案内してもらったバス乗り場から乗車。
<パレンケ(PARENQUE)の格安ホテル/安宿>
宿名:POSADA LA NUEVA
住所:Av.5 de MAYO No.27 esq. abasolo
シングル100ペソ。ホットシャワー、水フリー。ただし、ネットはできない。
行き方:バス乗り場からなら、Av.5deMAYOを東へ行き、C.M Abasoroと交差するところの手前にある。
なお、私は泊まれなかったが、Av20 de Noviembre とC.Allendaの交差する近くにあるPOSADA CHACAMAXという宿も安いらしい。
コメント
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白人さんの写真うpしてもいいのよ(^ω^)
次はメシうまい国やったらええな!
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あれあれ、かもねぎさん。
恋、
始まった?!
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タイ人やから乗せてくれへんかってんな笑
こーゆーハプニングが良いよね
もっとハプニング起こしてくれ
あ、将来決まったわ
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>サンコンさん
暑苦しいタイプでよければ笑
てか、安いと嬉しい♪
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>イクナロックさん
いやー、始まる前に彼女はどこかへといってしまいましたねー笑
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>シャーリィさん
いやじゃ笑
おう、俺が遊んでいる間になんてことを。
第一志望のとこ?
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うん、しきりに言うてたとこ
意外と辛いから、覚悟しとき笑
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>シャーリィさん
まじか。やるやん。
まじか。日本帰りたくないやん