コロンビア人は親切だ。
町で道を尋ねれば無視をされたりすることはほぼない。
バスの乗り場を尋ねれば、連れて行ってくれ、目的のバスが来るまで一緒に待ってくれたりする。
しかし、私には一つだけ困ったことがあった。それは、
「コロンビアはどうだい?」
というコロンビア人によく聞かれた質問である。答えづらかった。
素直に答えれば「ゲリラがこわい」だからだ。
コロンビアには、ゲリラがいる。だからこそ、彼らコロンビア人も「コロンビアはどうだい?」とそのイメージを気にしている。
国境地帯や未開の地ではバスで移動していたとしても、バスごと誘拐されるという事件もあり、油断はできない。移動の際は特に気をつけねばならない。
話は少しさかのぼる。
「くさった奴!国境越えと人の本性@カプルガナ_世界一周旅行記33」で大変な目にあった後。メデジンからのバスでの移動中、私は油断せずに爆睡していた。
しかし、私がふと目を覚ますとバスは停車し、外がなんだか騒がしかった。
まさか、ゲリラか?
一抹の不安を抱きバスの運転手に尋ねると、彼はたいしたことじゃない、と笑った。
「土石流で道がふさがっているだけさ」
結局、一晩バスの中で過ごすことになった。
そして今回の、ボゴタからベネズエラの国境への移動である。ここでも私は油断せずに寝るつもりだったが、あまりに荒っぽい運転で山道を疾走するものだから、朝乗ったはずが気づいたら夜になっていた。どういうことだ。
そして何の因果かバスはまたも止まっている。今度こそゲリラか?
私はおそるおそる運転手に尋ねる。すると彼も、たいしたことじゃない、と笑った。
「エンジンが故障しただけさ」
また一晩バスの中で過ごすことになった。
たいしたことあるぞ。
しかし、どちらも結局ゲリラは出なかった。もちろん、この国のゲリラはどこかにいるのだろう。
でも、それは一面であり、この国のすべてではない。
コロンビアには私の遭遇した冗談のような自然の猛威もトラブルもあるし、人々の親切さもある。変な芸術家もいる。
私のコロンビアのイメージはゲリラだけではなくなった。
だから。「コロンビアはどうだい?」この問いにも今なら気兼ねなく答えられる。
「大雨と親切とボリューミー」
微妙な顔をされた。なぜだろうか。
次回→コロンビア・ベネズエラ国境の手品@ククタ→サン・クリストバル_世界一周36
前回→この作品、好きです。コロンビアの芸術家ボテロ@ボゴタ_世界一周34
<交通情報>
ボゴタ→ククタ
バスで70000COP。本来は75000だが、ためしに値引きがあるか聞いてみたところ、ディスカウントしてくれた。
なお、ベネズエラは闇両替が必要になるのだが、ここ、ククタはレートがよいのでおすすめ。
ドルからより、ペソからのほうがレートがよい。1000COP=440~450BSF、これで1ドル=8BSFくらい
コメント