コロンビアは面白かったが、私の世界一周にはあまり時間がないため、もうベネズエラへ行かねばならない。
残念ではあるが、両替用に10ドル相当のコロンビア紙幣10枚を準備して私は国境の町ククタを訪れた。
ベネズエラへ向かうためだ。
ここから国境まで運行している市バスは私の乗ってきた長距離バスと発着場が同じで大変便利である。
本数がそれほど多くはないため、出発時間まで少々待たなければいけないのは難点だが、
タクシーに比べ圧倒的に安いので私はこの市バスで国境まで行くことにした。
出発時間を運転手に聞くと、まだ少し時間がある。ククタの町を散策して少し時間をつぶすことにした。
そして私は稀有な体験をする。まあ、稀有といってもそれほど珍しいものでもないかもしれない。
手品を見たのだ。
種類としては、テーブルマジックに近いものだろうか。
テーブルマジックとは、トランプなどを用いて、テーブル上で行われるマジックの事だ。
大掛かりな装置は使わないため派手さはないが、道具が少なく細工をする余地が限られているため、
手品師のテクニックのすごさがよりわかり、私はこの手の手品が好きであったりする。
今回の手品は、トランプの代わりにお札を使った。
お札がテーブルの中央に置かれる。10枚ある。それは私が確かに確認したものだ。間違いない。
手品師の手が動く。お札の角をきれいに揃え、左手でテーブルの隅にまとめる。
同時に右手で新しいお札を出してきて中央に並べる。滑らかな動きだ。
新しいお札を順番に一枚ずつ数えていく。
1枚、2枚、3枚、…10枚。
私も同時に確認した。間違いない。
次に、隅においてあったほうのお札を中央に移動させる。同じようにこれも数えていく。
1枚、2枚、3枚、…9枚。
9枚。1枚ない。
数え間違いか。もう一度、今度は私が数えた。
しかしやはり、9枚。1枚足りない。
数え終わった私に、手品師は満足げに見える。
たしかにこれはすごい。目の前でずっと見ていたのに、まるでわからなかった。
南米の国境でこんな手品が見れるとは思わなかった。
すごかった。あんまりすごいから思わず言ってしまった。
「金返せ」
両替詐欺であるククタに手品師なんかいない。
いたとしても私は会っていない。
いたのは両替商と両替詐欺にあったばかな日本人、私である。
このあと路上で膝を抱えこんだ私である。
呆然と空を見つめていた私である。
全力で注意して正面から10ドルかっさらわれた。
たいへんまぬけである。
次回→雨男Lv.100@シウダーボリバル_世界一周37
前回→治安はどう?コロンビアゲリラと私の印象@ボゴタ→ククタ_世界一周35
<交通情報>
ククタ→国境
ククタのバスターミナルから国境までは市バスが運行。1500COP(130円)、タクシーは25000COP、乗り合いタクシー5000COPほど。モトタクシー(バイク便)も出ています。市バス以外、要交渉。特にタクシーは性質の悪いやつが多いので注意が必要です。
国境には川が流れており、橋を渡って国境を越えます。コロンビア・ベネズエラのイミグレはそれぞれ歩いて行ける距離にあります。
国境→サン・アントニオ→サンクリストバル
ベネズエラ側、サン・アントニオのバス停は意外と遠いのでバスで来た方はがんばって歩いてください。大通りを歩いていれば、いずれサン・クリストバル行きのバスを呼び込みが行われている場所に着きます。これに乗ってサン・クリストバルへ。12.5BSF(1400円)、4時間ほど。
サンクリストバル→シウダーボリバル
バスで29時間。205BSF(2200円)ただし、夜5時か6時発しかなく、到着が深夜になるので、進められない。
また、シウダーボリバルのバスターミナルにはCONNECTION TOURという旅行会社があるが、ここは値段が無駄に高いので、やめておいたほうがいい。
コメント
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両替詐欺被害、ご愁傷さま。でも、それを笑いに帰るあなたは、きっとこれからも楽しく生きていける、がんばれ青少年。
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>熊五郎のさん
笑いこそすべてです笑
がんばります