地獄！ボリビアで高山病になった話＠ビジャンソン→ポトシ_世界一周旅行64

高度４０００ｍに位置する都市、ポトシで私は高山病にかかった。

といっても、日本ではあまり発症しない、なじみのない病気であるので知らない人もいるかもしれない。
ようは高所などで酸素が足りなくて頭痛、吐き気などを起こす病気だ。

高度が低い場所から高い場所へと急に移動すると、空気中に含まれている酸素が減るので、身体が適応できず、起こるのである。

対策としては、急激な運動をしない、アルコールを飲まない、深呼吸を心がける、十分に水を飲む、などである。しかし、どんなに対策をしようと、３人に２人は軽度の高山病にはかかるらしい。

ポトシの４０００ｍは、条件としては完璧である。
予備知識のあった私は、

「ふっふっふ、これが高山病か。なるほど、確かに頭がすこし痛いぞ。これは、日本に帰ったら、
『高度４０００ｍの町で高山病にかかったけど、まあ、我慢できるな。高山病くらいもう余裕やで』とか自慢してやろう」

と思いながら、町を散策した。

あほなんじゃないかと思う。

「まあ、薬を飲んで観光を強行している人もいるくらいだし、これくらいでおさまるやろ」
と楽観的に考えていたこの時の私をしばき倒したい。

夜、私はのた打ち回った。

激しい頭痛と吐き気、そしてせきで苦しみ続けた。この、激しい頭痛とせき、一つでも辛かったのだが、合わさることで最悪の症状になっていた。

せきをすると、頭が揺さぶられ強烈な頭痛が襲う。さらに、この組み合わせの悪いところはそこだけでなかった。

ただでさえ酸素不足の体から、頭痛のせいで荒くなった呼吸、そしてせきによって容赦なく酸素が奪われていくのである。

これによって、高山病はさらに悪化し、悪化した高山病はさらなる頭痛とせきを起こす、という負の連鎖が続くのである。

これにときおり吐き気も加わったのだから、たまったものではない。

昼間と違い、「自慢してやろう」などという余裕は一かけらも残されていなかった。

というか、吐き気のせいで部屋に帰れずトイレの便器の前で一人鼻水たらして、荒い呼吸で「あかん、もうあかんぞ」とつぶやいているのだからもうどうしようもない。

自慢しても「はいはい、変態ですね」で終わりである。

結局、一睡もできず、これはほんとにまずい、とインターネットで高山病を治す方法を真剣に調べ始めた。

それによると、一番早く高山病を治す方法は「低地に降りる」とのことだ。

ちなみにポトシから「低地」まではバスで片道５時間である。完全にふざけている。
そんな移動ができる状態であれば、そもそも移動する必要がない。

ほかにもっとないか、もっとないか、と調べていると、「重症の場合、死ぬよ」とか、「病院行かないとやばいよ」とか、いらん情報ばかりでてきて気分はどんどん陰鬱なほうへと引っ張られていった。

しかし、そのうちに「高山病の薬」という項目をみつけた。飲めば、高山病の症状がやわらぐらしい。

希望を見つけ、私は薬局の開く朝をベッドとトイレを往復して待った。

どうでもよいが、夜、一人でネットを開いて「はー、はー」と荒い呼吸で出ていってはトイレと部屋を往復していた私の姿は周りの外人にどう見られていたのだろうか。

翌朝みんながあまり私に話しかけてこなかったのはつらそうな私を気遣ってくれていたのだと信じたい。

そして翌日薬を飲んで私は同じ生活を送った。薬、効かんやんけ。医学のあほう。

そうおもっていた、その日の夜、症状はだいぶ和らいでいた。相変わらずせきは止まらなかったが、激しい頭痛がおさまったおかげで眠ることもできた。

現代医学はすごい。バカにしてほんとごめんなさい。

おかげでこのさらに翌日、ポトシについてから３日目にしてようやくポトシへ来た目的を果たせるようになりました。

医学最高。

次回→過酷過ぎる労働と鉱夫のやさしさ＠ポトシ_世界一周旅行65
前回→南米のグランドキャニオン♪ボリビア・アルゼンチン国境の絶景ウマワカ渓谷＠フフイ→ラ・キアカ_世界一周旅行63