>高度4000mに位置する高山都市ポトシは、大量の鉱夫を抱える鉱山都市でもある。スペイン人の植民地時代に発見された鉱山はセロ・リコ(富の山)と呼ばれ、この町をにぎわせ、発展させていった。
しかし、それは、あくまで鉱夫たちが地獄のような労働環境に耐えて、耐えて、耐え抜いた末の発展である。
革命を起こし、選挙権や人権は手に入れたものの、彼らの環境は根本的には解決されていない。
一日8時間の労働の間、食事もなく、薄暗く、粉塵とよどんだ空気に満たされた鉱山の中、彼らはアルコールやコカの葉といった飲食物で空腹を、疲労をごまかし働き続けている。チームごとの出来高性のため、休むと仲間に迷惑がかかる。彼らは働き続けるしかないのだ。
彼らの中には12才の子供もいる。それでも生活のため、仲間のため、家族のためと日々劣悪な労働環境に耐えて働き続けている。
そんな彼らのために何かできることはないかと私は考えた。
いままでのブログを読んで、私を、日々お気楽に旅を過ごしているだけの能天気なやつとお思いの方には意外かもしれない。
しかし、実は私は自分の財布の貧困問題に悩んだり、腹の飢餓問題に苦しんだり常に世界のことを気にかけているのだ。
とは言っても、私はいち旅人。彼らの問題を根本的に解決してあげることはできない。
だが、私のあふれ出るさわやかさと優しさは彼らの心を癒し、ぬくもりを与えることだろう。
特にいま私は高山病だ。「病を押して私達を励ましてくれるなんて、なんてやさしい若者だ。なんてすばらしい若者だ」などと
きっと鉱夫たちは感動するにちがいない。
少しでも彼らの救いになるべく高山病の身体を押して私は鉱夫達の働く鉱山へ向かった。
そこは聞いていたとおり、劣悪な環境だった。
狭い坑内はぬかるみ、採掘された鉱石のちりが空気中に漂っていた。
そんな中、鉱夫たちは黙々と働いていた。
その目の前で私は全力でむせていた。
ちりを吸い込んではせき込んで、失われた空気を取り戻そうとしてはちりを吸い込んでいた。
高山病の負の連鎖が返ってきた。正直、途中から早く鉱山の外に出たくてたまらなかった。
そんな私を見るに見かねてか、鉱夫が声をかけてくる。
「だいじょうぶか?」
「コカの葉を噛めば楽になるぞ」
過酷な労働中だというのに、やさしく声をかけてくれる。
さらには、私よりつらい彼らがさわやかに笑い、励ましあっている姿は私の心にぬくもりをくれた。
おかげで、つらい鉱山の中でも明るい気持ちを保てた。すばらしい人達だ。
感動のあまり私は心中でつぶやいた。
「立場反対やんけ」
励ましに行ったはずが、思いっきり励まされた。なんとかっこ悪い。そして鉱夫たちのなんとかっこいいこと。
「すばらしい人達だ」
そう言うと、鉱山に案内してくれた、元・鉱夫のガイドはいった。
「その言葉が一番嬉しい」と。
また、
「自分は、元鉱夫だけど、君達のような人が来てくれるようになったおかげで、ガイドになることができた。本当に感謝している」と。
私は正直ただの興味本位の観光客である。
その私のような人間に感謝しているという言葉。印象的だった。
次回→ボリビアのローカルバス旅@ポトシ→ウユニ_世界一周旅行66
前回→地獄!ボリビアで高山病になった話@ビジャンソン→ポトシ_世界一周旅行64
コメント
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そこまでして鉱夫を続けないといかんのか・・・
高度4000mで粉塵まみれとか俺ならすぐ肺炎になって死ぬ自信があるぞ。
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本当に大変なところで働いているんだね。わたしも実際にその現場に行きたいと、記事を読んで思いました。
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>サンコンさん
ほんまね。日本はめぐまれてます。
だいじょうぶ。おれはお前より先に死ぬ笑。
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>アッキーさん
ボリビアに行く機会があれば、ぜひ。
鉱夫はほんまいい人たちでしたよ