イッテQに挑戦?ボリビアのワイナポトシ山6088mを素人が登山1@ラパス_世界一周69

旅行記
$かもねぎ世界一周。~地球をぐるりと飲み歩き~

ラ・パスはそこがすでに4000m近い高所と言うこともあり、
6000mを越える山への登山が素人でもできる。しかしこれは、私のようなまけ者にはあまり関係がない。

私にとってラ・パスのハイライトは日本食レストラン「けんちゃん」でのカツ丼である。
「けんちゃん」でうまいもんを食い、暖房の効いた座敷でマンガを読みつつだらだらする生活は最高だった。

しばらく遠ざかっていたが、文明とはすばらしい。
やはり私は文明人であり、こういう生活が似合っている。暖房もなく、シャワーもない生活など考えられない。

2日後、私は5200mの小屋の中で寒さに震えていた。

たまたま出会ったオーストラリア人カップルに
「6000mの山を登ったら自慢できるぞ」とそそのかされ、
6088mのワイナポトシ山登頂を目指すことにしてしまったのだ。

シャワーなんて望むべくもない。文明人どこいった。

深夜12時、ガイドのロベルト(推定60才)とともに山頂を目指し歩き出すことになった。
周囲の雪に反射した月明かりと零下10度まで冷え切った空気に包まれた中の出発である。

ヘッドライトの明かりを頼りに、滑り止めの金属刃アイゼンをつけた
雪靴で一歩一歩進んでいく。

クレバスなどに落ちたときのためにロベルトと私はロープでつながれている。
5000mを越えるここでは、すこし歩いただけで息がすぐに切れ、金属刃を着けた靴は重かった。

私は休み休み行きたかったのだが、ロベルトはあまり休みを許してくれなかった。
山頂付近は日が昇ると雪崩が起きる可能性があるため、
日の昇る午前6時頃にはたどり着かなければならないからだそうだ。

ガイドとはいえ、60才のじいさんがその言葉通り休憩を取ろうとせずに
進もうとしているのに私だけ弱音を吐いているわけには行かない。

くじけそうな心を叱咤し、ともすれば止まりそうな足を前へ、前へと進めた。

必死の思いで登り、もうどうあがいても限界、というところでロベルトが告げた。

「休憩だ」

私の様子を見てくれてやすむことにしてくれたのだろうか、と思ったのだが
ロベルトは「トイレ」と告げると即座に私から離れ、見えないところに行ってしまった。

どうやら自分がトイレに行きたかっただけのようだ。なんてガイドだ。

しかしこれはちょうどいい休憩になった。
元気も出てきたしがんばろう、と思ったのだが、
トイレを済ませているはずのロベルトがなかなか戻ってこない。

立ちションでこれは長すぎる。もしや、なにかあったのか。雪山でそれはシャレにならんぞ。

そう心配していると、しばらくしてロベルトが戻ってきた。
かぐわしい香りと共に戻ってきた。手にペーパーを持って戻ってきた。

大便してやがった。心配返せ。

心なしかというか、露骨にすっきりしている大便ガイドと
私は再び上り始めたのだが、私はこの時点で明らかにペースが早すぎることを危惧していた。

私達は、山小屋から一番早くに出発したのだが、
私をそそのかしたオーストラリア人カップルも山頂を目指しているはずだし、
山小屋には他にも登頂を目指す人々がいた。

当然ながら彼らも日の出前の登頂を目指しているはずだ。
だけど、途中から彼らの姿が影も形も見えなくなった。
やつがプレイ中も追いつかれることはなかった。

絶対に早すぎる。

少なくとも私にとっては完全にオーバーペースだ。
呼吸が苦しい。私は休憩をくれるよういった。
だけど彼はかたくなに認めない。さらに進み続ける。

登り続けるうちに、眼下、はるかかなたにラ・パスの明かりが見えてきた。
文明の明かりだ。星とはまた違う暖かい光りに感動した。

けれど、私はもうぼろぼろだった。
息も絶え絶え、なんとかロベルトについていっている、という状態だった。

山頂近くまでもう4時間以上歩き続けだというのに、トイレを含め、休憩は4度。
なんだ、そんなに休んだのか、と思われるかもしれないが、ここは高山。ありえないペースだ。

「まじで休ませて。もう無理」といって、雪の上に倒れこんだ。
文字通り倒れこんだ。座っていることさえつらかったのだ。

仰向けになって、星を眺め、荒れに荒れた呼吸を整え、くたびれた足の筋肉を回復させるよう努めた。
10分も休んだだろうか、呼吸が楽になってきて、足の痛みもましになった私は、進もうか、とロベルトに伝えた。

しかし、彼は首を振って言った。

「私はもう歩けない」

ありえない。ありえないぞ。

確かにこの山は登頂率50%とか言われる山である。
だが、ガイドがギブアップしてどうするのだ。

いや、もはやガイドとか関係なく、それが何度も「休憩しよう」といった
言葉を無視して歩き続けた本人が言う言葉か。

どうすんねん、これから。

「あとで来るガイドと共に行け。私はもうだめだ」

そうだね、本当にだめだね。
早く来た意味まったくないぞ。

 

<画像集>
素人でも登れる!ボリビアの6000m越えの山ワイナポトシ<画像集>

 

次回→イッテQに挑戦?ボリビアのワイナポトシ山6088mを素人が登山2@ラパス_世界一周70
前回→10km歩く!?ボリビア、ストライキで道路封鎖@ウユニ→ラパス_世界一周68

 

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