アマゾンのジャングルに宿泊し、ピラニアを釣る。
南米にくると決めたときから、私はずっとそのときを夢見ていた。
そこで2ヶ月ほど前、アマゾンの中心ともいえるブラジルのマナウスへ向かった。
そこから出ているツアーでは、快適なコテージに泊まれ、蚊の脅威におびえることもなく、
衛生的なおいしい食事を口にできる。
大変すばらしいことである。
アマゾンだからと言って、無理をしてはいけない。
文明人には文明人のスタイルと言うものがあるのだ。
身体を壊しては元も子もない。私はこのツアーに参加することにした。
お値段は300ドルだった。
大変嘆かわしい。アマゾンまで来てそのような文明的な生活を送るなど、どういうことか。
真の冒険家である私にはワニを狩り、ピラニアを釣り、サルとたわむれ、
お値段が4分の1くらいのものがふさわしい。5分の1とかだともっとふさわしい。
そんな真の冒険家にぴったりのツアーがボリビアの首都ラ・パスから
300kmの位置にある町、ルレナバケにあるという。
300kmと言えば南米のバスだと片道8時間はかかる。
ついでに、この道はデスロードというバスが崖から転落しまくっている道らしい。
まあ、仕方ない。なんとかなるだろう。冒険家に苦労はつきものだ。
私はルレナバケへ向かった。
バスは砂ぼこり巻き上げる山道を通り、ぬかるみすぎたでこぼこ道した道を通り、走り続けた。
道中には、道幅が信じられないくらい狭い場所があり、所々落下したトラックが放置されていた。
デスロード、半端ではない悪路だった。
私はバスの中でずっと悪路&バスのボロさからくる振動で
「も、、、も、もううっ、かっ、え、え、らっ、してっ、」
となっていた。
この状態が24時間。300kmに時間かけすぎである。
人生で一番つらいバス旅であった。
ルレナバケに到着した日はさすがに披露困憊だったので休んだが、
その翌日、アマゾンツアーへ出発した。
私が参加したチームはヨーロッパ女性3人とチリ男性3人とちょうどいいバランスであった。
日本人のわけのわからんやつがついてこなければ3:3で合コンのようである。
私が邪魔者だと言うのか。そんなバカな。
そんなことは認められない。認められないが、
せっかくだしガイドと仲良くしようとしたのだが、このガイドが死ぬほど無愛想だった。
彼と仲良くすることは放棄して、合コンの邪魔者として彼らの会話へ加えてもらうことにした。
そして話してわかったのだが、幸いにして一人を除いて彼らはフレンドリーで、
英語すらまともにできない私もこのツアーを楽しく過ごせそうである。
しかし、この除いた一人、クリスという女性なのだが、
この人なかなかにやっかいな人であった。
我々はボートで川をさかのぼって宿泊地のコテージまで向かうのだが、
その途中には様々な動物が見られる。
ワニ、亀、カピバラ、リスザル、種々の鳥が次々に目の前に現れる。
一同、興奮しっぱなしである。カメラを取ったり、双眼鏡で覗いたり、
みな初めて見るアマゾンの世界に没頭していた。
しかし、そんな中でもクリスは
「虫が多いわ。早く行きましょう」
と不満を言っていた。
まあ、我々もあまりに動物が次々と出てくるので1時間もすると少し飽きはじたのだが、
淡水にすむイルカであるピンクイルカや、巨大なワニのブラックカイマンが目の前に現れ、
水しぶきを上げたときは歓声を上げた。
しかしそんな時も彼女は冷静に呟いていた。
「水しぶきが飛んだわ。もっと気をつけてくれないかしら」
それは無理だと思う。
彼女はしばらくぶつくさ言っていた。何しにアマゾンに来たのかさっぱりわからん。
翌日は朝から、アナコンダ探しと言う、長靴で湿地帯を歩き、
アナコンダを探すアクティビティーが待っていた。
アマゾンの大蛇アナコンダを探すのである。
捕獲するための麻酔銃であったり、身を守るための防護服であったり、
装備を整え万全の準備で挑まねばなるまい。
しかしそれでもまだ油断は禁物だ。何せ相手はアナコンダなのだから。
私は心を引き締めた。
そんな私に、アナコンダ探しの装備が渡される。一つずつ確認していこう。
長靴。
以上である。
ふざけとんか。
しかもほとんどの長靴が穴あきであった。こんなんでだいじょうか。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。アナコンダはおとなしいから。それよりも、しっかり穴の開いていない長靴を選ぶように」
とガイドは言うが、とっても不安である。
「1ヶ月に1度、獲物を食べれば彼らには十分だから」
とも彼は言った。
しかしその一ヶ月に一度にぶつかってしまったら、
獲物になるのは私にならないか。確かあいつら、鹿も食うんだぞ。
おっかなびっくり、私は湿地帯を歩いた。
一面水に浸かっている湿地帯のできるだけ浅いところを選び、
ざぶざぶ水をかき分けて2時間ほど歩いた。
不幸にも穴あき長靴を選んだ何人かは最初のほうで靴下がびしょびしょになっていた。
しかし、しっかりと長靴を選んだ私は、最後のほうの長靴の丈より深い水場で一気に膝下まで水に濡れた。
その場所で全員膝下まで濡れた。
長靴がしっかりしていようがなんだろうが、早く濡れるか遅く濡れるかの違いだけであった。
なにがだいじょうぶか。
そしてこんな苦労をして、結局見つかったのはアナコンダの皮だけ。
だれが得するんだこのアクティビティー。
疲弊し、がっかりして私達はコテージに戻り、昼食を食った。
もういい、このしょぼいアナコンダツアーは忘れよう。
これから私にとってこのツアーのメインが始まるのだから。
ついにピラニア釣りが始まるのだ。
次回→念願のピラニア釣り♪格安アマゾンツアー2@ルレナバケ_世界一周旅行72
前回→イッテQに挑戦?ボリビアのワイナポトシ山6088mを素人が登山2@ラパス_世界一周70
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